武腰一憲
現代の九谷の世界において、昔からの伝統を重んじるあまり、草花、鳥それに小紋などを主に描く作家が多いのが現状である。確かに武腰一憲先生も昔からの流れの中で試行錯誤しながら制作していた１人であったことは事実である。
ただ、その中でも構図や色使いの表現の仕方は現代的な感覚をもちそなえていた。しかしこの程、平成7年にシルクロードの地、ウズベキスタン共和国に旅行をする機会があり、その時、彼は高原地帯のすみきった青空（のちにサマルカンドブルーと命名）寺院等の建造物、民族衣装をまとったお年寄り達に強い印象を感じたのである。その空気を彼自身の中を通じ、生まれた作品が「遠い日」である。
平成9年第29回日展、作品「花器 遠い日」、平成12年第32回日展、作品「花器 過日」で、ほぼ連続で特選を受賞したのである。今現在、作品「遠い日」は13年の年月を隔てはいるが、彼自身の中ではいまだ発展途中という。九谷の伝統を継承しながら今後どんな風に変化を成し遂げていくか楽しみな作家である。
日展（第32回）
特撰受賞「花器 過日」
陶額
色絵遠い日「帰路」
花生
色絵遠い日「記憶」
色絵
四十雀図花生
陶額
色絵孔雀図
陶歴
| 昭和31年 | 四代善平の長男として生まれる。 |
|---|---|
| 昭和54年 | 金沢市立美術工芸大学工芸 デザイン科陶磁専攻卒 |
| 昭和55年 | 日展初入選 以来16回 |
| 昭和56年 | 日本現代工芸初入選 以来連続入選 |
| 昭和63年 | シンガポール芸術祭選抜出品 |
| 平成3年 | 第30回記念日本現代工芸美術展 記念賞受賞 |
| 平成6年 | 日展会友に推挙。 |
| 平成7年 | 日本現代工芸美術展審査委員就任 ウズベキスタン共和国へ取材旅行 |
| 平成8年 | 金沢市立美術工芸大学非常勤講師就任 |
| 平成9年 | 日本現代工芸美術展 東京都教育委員会賞受賞 第29回日展「花器 遠い日」 特選受賞 |
| 平成10年 | 第30回日展無鑑査出品 「九谷焼100年」展（パリ）選抜出品 |
| 平成11年 | 日本現代工芸美術展審査委員就任 金沢卯辰山工芸工房講師就任 |
| 平成12年 | 第32回日展「花器 過日」 特撰受賞 |
| 平成14年 | 日展委嘱 |
| 平成15年 | 日本現代工芸美術展審査員就任 |
| 平成16年 | 日展審査委員に就任 |
| 平成17年 | （社）日展会員就任 |
| 平成18年 | （社）現代工芸美術家協会理事就任 |
| 平成19年 | ウズベキスタン共和国訪問 タケシントビエンナーレ出品 |
| 平成20年 | 日展審査員就任 |
現在：日展会員・現代工芸美術家協会理事・石川県美術文化協会常任評議員
石川県陶芸協会理事
葡萄酒杯 ソメパッチ（1）
